本屋大賞2022ノミネート10作まとめ

女医の日常
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こんにちは。Emi(@Emi07033909)です。

毎年楽しみにしている本屋大賞。2022年本屋大賞にノミネートした10作品全てを読み終えたので、各作品を振り返ってまとめたいと思います。

2021年はこちら

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本屋大賞とは

本屋大賞は「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本」をテーマに設立されて、2022年で第19回目。新刊書書店(オンライン含む)で働く書店員投票方式で、大賞が決定されます。

詳しくはこちら→本屋大賞

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2022年本屋大賞まとめ

大賞:『同志少女よ、敵を撃て』/逢坂冬馬

~内容紹介

独ソ戦が激化する1942年、モスクワ近郊の農村に暮らす少女セラフィマの日常は、突如として奪われた。急襲したドイツ軍によって、母親のエカチェリーナほか村人たちが惨殺されたのだ。自らも射殺される寸前、セラフィマは赤軍の女性兵士イリーナに救われる。「戦いたいか、死にたいか」――そう問われた彼女は、イリーナが教官を務める訓練学校で一流の狙撃兵になることを決意する。母を撃ったドイツ人狙撃手と、母の遺体を焼き払ったイリーナに復讐するために。同じ境遇で家族を喪い、戦うことを選んだ女性狙撃兵たちとともに訓練を重ねたセラフィマは、やがて独ソ戦の決定的な転換点となるスターリングラードの前線へと向かう。おびただしい死の果てに、彼女が目にした“真の敵”とは?

~感想~

第11回アガサ・クリスティー賞大賞を受賞されている本作。

独ソ戦が舞台の戦争小説です。『失った命は戻らない』『代わりの命はない』、戦死者1が意味すること、簡単な数字ではないと感じました。また突然戦争の中に放り出されてしまう恐ろしさや殺すことの狂気に慣れてしまう恐ろしさ、女性への暴力など戦争の悲惨さ残酷さを改めて痛感しました。超大作ですが、文章が読みやすく読むのは全然億劫でありませんでした。狙撃兵や銃や戦車に関する情報や、今のウクライナロシア戦争に通じる話もあり、一読の価値があります。

第2位:『赤と青とエスキース』/青山美智子

~内容紹介~

 メルボルンの若手画家が描いた1枚の「絵画(エスキース)」。日本へ渡って30数年、その絵画は「ふたり」の間に奇跡を紡いでいく――。2度読み必至! 仕掛けに満ちた傑作連作短篇。若い時に描き、手放したある絵画が戻ってきて……。

~感想~

2021年本屋大賞第2位の青山さんの作品です。赤と青で描かれた絵画とその周辺で起こる4つの短編集。エピローグでカッチリとはまったときの気持ちよさといったら、これこそ『完璧な結婚』です!人生は一度でなくて、何度でもある、仕事・愛・美術について心に響く言葉がたくさんありました。

第3位:『スモールワールズ』/一穂ミチ

~内容紹介~
夫婦円満を装う主婦と、家庭に恵まれない少年。「秘密」を抱えて出戻ってきた姉とふたたび暮らす高校生の弟。初孫の誕生に喜ぶ祖母と娘家族。人知れず手紙を交わしつづける男と女。向き合うことができなかった父と子。大切なことを言えないまま別れてしまった先輩と後輩。誰かの悲しみに寄り添いながら、愛おしい喜怒哀楽を描き尽くす連作集。

~感想~

家族がテーマの6つのお話からなる短編集。小さな世界の中に悲しみや愛おしさ、許せなさ、様々な気持ちがあふれている。誰の人生だって激動、どれだけ近くに居ても他人のことはわからないものだと感じました。

第4位:『正欲』/朝井リョウ

~内容紹介~

生き延びるために、手を組みませんか。いびつで孤独な魂が、奇跡のように巡り遭う――。あってはならない感情なんて、この世にない。それはつまり、いてはいけない人間なんて、この世にいないということだ――共感を呼ぶ傑作か? 目を背けたくなる問題作か? 絶望から始まる痛快。あなたの想像力の外側を行く、作家生活10周年記念、気迫の書下ろし長篇小説。

~感想~

多様性の時代の中で、マイノリティから取り残されたマイノリティについてのお話。「正しい側」だと信じて疑わない人達から異端扱いされ、救いがあるのかはわからない。社会に漂う価値観について考えさせられた読み応えのある作品でした。

第5位:『六人の嘘つきな大学生』/浅倉秋成

~内容紹介~

成長著しいIT企業「スピラリンクス」の最終選考。最終に残った六人が内定に相応しい者を議論する中、六通の封筒が発見される。そこには六人それぞれの「罪」が告発されていた。犯人は誰か、究極の心理戦スタート。

~感想~

就活で本当にいい人材を選ぶのって難しい。SNSやネットニュースなど僅かな情報から得られた印象で他者を断じる愚かさに目を向けつつ、人は多面性があることを示唆している。伏線の回収がすごく、巧妙な話の展開にわくわくしました。

第6位:『夜が明ける』/西加奈子

~内容紹介~

直木賞作家が5年間苦しみ抜いて到達した祈り。再生と救済の長篇小説。
思春期から33歳になるまでの男同士の友情と成長、そして変わりゆく日々を生きる奇跡。まだ光は見えない。それでも僕たちは、夜明けを求めて歩き出す。どれだけ傷ついても、夜が深くても、必ず明日はやってくる。

~感想~

俺と友人の目線で交互に描かれる小説。貧困やネグレクトが題材にあり、二人の生き様に胸がつぶれるような気持ちになりました。苦しくて助けを求める前に、為す術のない人も多くいるように感じました。後輩の登場人物が一筋の明るい未来をもたらしてくれるような気がした。

第7位:『残月記』/小田雅久仁

~内容紹介~

近未来の日本、悪名高き独裁政治下。世を震撼させている感染症「月昂」に冒された男の宿命と、その傍らでひっそりと生きる女との一途な愛を描ききった表題作ほか、二作収録。「月」をモチーフに、著者の底知れぬ想像力が構築した異世界。足を踏み入れたら最後、イメージの渦に吞み込まれ、もう現実には戻れない――。

~感想~

月にまつわる3つの作品集です。感染症や独裁者の統治などダークファンタジー要素が強かったです。何とかもう一回ひっくり返らないかとつらい気持ちがわきました。魅惑的な世界観でした。

第8位:『硝子の塔の殺人』/知念実希人

~内容紹介~

雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。この館で次々と惨劇が起こる。

館の主人が毒殺され、ダイニングでは火事が起き血塗れの遺体が。さらに、血文字で記された十三年前の事件……。謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。散りばめられた伏線、読者への挑戦状、圧倒的リーダビリティ、そして、驚愕のラスト。

~感想~

500ページにも及ぶ長編本格ミステリーです。犯人の語りから始まる、奇妙な硝子張りの塔で起きる連続殺人事件。 ミステリに深い関係がある登場人物たちが集められています。トリックや話の展開がありきたりかなと思ったら、最後にどんでん返しがあり、メタミステリ的な独創感が面白かったです。

第9位:『黒牢城』/米澤穂信

~内容紹介~

本能寺の変より四年前、天正六年の冬。織田信長に叛旗を翻して有岡城に立て籠った荒木村重は、城内で起きる難事件に翻弄される。動揺する人心を落ち着かせるため、村重は、土牢の囚人にして織田方の軍師・黒田官兵衛に謎を解くよう求めた。事件の裏には何が潜むのか。戦と推理の果てに村重は、官兵衛は何を企む。デビュー20周年の到達点。『満願』『王とサーカス』の著者が挑む戦国×ミステリの新王道。

~感想~

10か月に及ぶ籠城で巧妙な心理戦が繰り広げられ、先が見えない焦燥感、互いの猜疑心が絡み合い、組織が崩壊していく様を見せつけられました。『進まずとも極楽はある』、負けてないけれど勝つことも無い状態でも、希望を持つことが重要だと感じました。戦国時代の勢力図や階級・身分、習慣を垣間見ることができて面白かったです。

第10位:『星を掬う』/町田その子

~内容紹介~

辛かった哀しかった寂しかった。痛みを理由にするのって、楽だった。でも……。

千鶴が夫から逃げるために向かった「さざめきハイツ」には、自分を捨てた母・聖子がいた。他の同居人は、娘に捨てられた彩子と、聖子を「母」と呼び慕う恵真。「普通」の母娘の関係を築けなかった四人の共同生活は、思わぬ気づきと変化を迎え――。

すれ違う母と娘の物語です。

~感想~

2021年本屋大賞を受賞された町田さんの後1作目です。とある出来事をきっかけに出会うことになった母娘。感動の再開物語かと思いきや、ヘビーな問題が目白押し。読むのがしんどかったけれど、絶望の中、登場人物が希望を見つけていく姿に感動しました。「わたしの人生は、わたしのものだ!」みな、何かしらの辛い経験をしていて、それでも一生懸命に生きている。『星を掬う』というタイトルの意味に最後は納得しました。

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おわりに

2022本屋大賞受賞作品、ぜひ参考にしてみてください。

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