こんにちは。Emi(@Emi07033909)です。
毎年楽しみにしている本屋大賞。2021年本屋大賞にノミネートした10作品全てを読み終えたので、各作品を振り返ってまとめたいと思います。
本屋大賞とは
本屋大賞は「全国書店員が選んだ いちばん! 売りたい本」をテーマに設立されて、2021年で第18回目。新刊書書店(オンライン含む)で働く書店員投票方式で、大賞が決定されます。
つまり書店員さんがその年に一番売りたい本を決める賞のことです。
詳しくはこちら→本屋大賞
2021年本屋大賞まとめ
大賞:『52ヘルツのクジラたち』/町田そのこ
~内容紹介~
「わたしは、あんたの誰にも届かない52ヘルツの声を聴くよ」
自分の人生を家族に搾取されてきた女性・貴瑚と、母に虐待され「ムシ」と呼ばれていた少年。
孤独ゆえ愛を欲し、裏切られてきた彼らが出会う時、新たな魂の物語が生まれる。
~感想~
町田さんは社会問題をさまざまな視点から描かれる、苦いけども温かい作風の作家さんです。虐待やネグレクト…現代の社会問題が浮き彫りになってものすごく苦しく、読書中涙腺が崩壊してしまいました。ですが、フィナーレは長い長いトンネルから一筋の光が差してくるような希望のみえる作品で読んでよかったです。他の個体には気づかれないほど高い周波数(52ヘルツ)で鳴くクジラ、世界で一番孤独なクジラと言われています。声なき声に気付ける人間でありたい、と心から思いました。
第2位:『お探し物は図書室まで』/青山美智子
~内容紹介~
お探し物は、本ですか? 仕事ですか? 人生ですか?人生に悩む人々が、ふとしたきっかけで訪れた小さな図書室。彼らの背中を、不愛想だけど聞き上手な司書さんが、思いもよらない本のセレクトと可愛い付録で、後押しします。
仕事や人生に行き詰まりを感じている5人が訪れた、町の小さな図書室。「本を探している」と申し出ると「レファレンスは司書さんにどうぞ」と案内してくれます。狭いレファレンスカウンターの中に体を埋めこみ、ちまちまと毛糸に針を刺して何かを作っている司書さん。本の相談をすると司書さんはレファレンスを始めます。不愛想なのにどうしてだか聞き上手で、相談者は誰にも言えなかった本音や願望を司書さんに話してしまいます。話を聞いた司書さんは、一風変わった選書をしてくれます。図鑑、絵本、詩集……。
自分が本当に「探している物」に気がつき、明日への活力が満ちていくハートウォーミング小説。
青山さんはあたたかくてどこかほっこりする素敵な作品を書かれる作家さんです。仕事に悩んでいたり、辛いと思っている人、新しい一歩を踏み出したいけど勇気が出ない人、そんな悩みを抱えるすべての人の心にストレートに響くと思います。現状を打破する一歩となるような本を貸してくれる司書さん。ちょっと意識を変えるだけで、人生は思いもよらぬ良い方向へ向かうことができる。ほろりと泣けて、仕事に行き詰まったときの羅針盤になるような素敵な短編集でした!
第3位:『犬がいた季節』/伊吹有喜
~内容紹介~
1988年夏の終わりのある日、高校に迷い込んだ一匹の白い子犬。「コーシロー」と名付けられ、以来、生徒とともに学校生活を送ってゆく。初年度に卒業していった、ある優しい少女の面影をずっと胸に秘めながら…。昭和から平成、そして令和へと続く時代を背景に、コーシローが見つめ続けた18歳の逡巡や決意を、瑞々しく描く青春小説の傑作。
~感想~
高校時代を思い出させてくれる青春小説。ある高校で飼われることになった捨て犬コーシローと生徒たちのエピソードに、ギュッと胸が締め付けられるような気持ちになりました。恋愛、友情、進路、毎日一生懸命だったなと懐かしくなります。甘酸っぱさや切なさ、卒業式の季節に読むのにぴったりの青春小説です。
第4位:『逆ソクラテス』/伊坂幸太郎
~内容紹介~
惑わされるな。天地をひっくり返そうぜ。
伊坂幸太郎、作家生活20年目の真っ向勝負!
~感想~
伊坂幸太郎さんデビュー20周年の集大成。久しぶりに伊坂さんの作品を読みました。主人公の小学生たちが大人の世界をひっくり返していく展開がとても面白かったです。子供って無邪気に論破しようとしますよね。とにかく爽快で、最高に読後感の良い短編集でした。
第5位:『自転しながら公転する』/山本文緒
~内容紹介~
結婚、仕事、親の介護、全部やらなきゃダメですか? 答えのない問いを生きる私たちのための傑作長篇。東京のアパレルで働いていた都は母親の看病のため茨城の実家に戻り、アウトレットのショップで店員として働き始めるが、職場ではセクハラなど問題続出、実家では両親共に体調を崩してしまい……。恋愛、家族の世話、そのうえ仕事もがんばるなんて、そんなこと無理! ぐるぐる思い惑う都の人生の選択から目が離せない、共感度100%小説。
~感想~
自分と重なる部分がありすぎて心をえぐられるような気持ちでした。主人公は30代で実家暮らし、契約社員、恋愛はまるでうまくいかない。恋人は中卒、優しいけれど世間体や先入観にがんじがらめにされている気持ちが痛いほど理解できました。未婚、親の介護、非正規のワーキングプアと、必死にもがきながらも、一歩一歩と着実に進んでいく姿は、私もこれでいいんだと希望をもてます。『ちょっとくらい不幸な方がいい』と納得できる読後感でした。
自転しながら公転するはアラサーや婚活、人生で悩んでいる人に読んでほしい一冊です。
第6位:『八月の銀の雪』/伊与原新
~内容紹介~
耳を澄ませていよう。地球の奥底で、大切な何かが静かに降り積もる音にーー。不愛想で手際が悪いーー。コンビニのベトナム人店員グエンが、就活連敗中の理系大学生、堀川に見せた真の姿とは(「八月の銀の雪」)。会社を辞め、一人旅をしていた辰朗は、凧を揚げる初老の男に出会う。その父親が太平洋戦争に従軍した気象技術者だったことを知り……(「十万年の西風」)。科学の揺るぎない真実が、傷ついた心に希望の灯りをともす全5篇。
~感想~
第164回直木賞にノミネートされた本です。さまざまな問題を抱えた登場人物たちが科学と出会うことで解決への糸口を見つけていく短編集です。はるか昔から存在する自然や神秘を前に私たちの悩みなんて本当小さく感じます。新たな第一歩を踏み出す手助けをしてくれる前向きな作品でした。
第7位:『滅びの前のシャングリラ』/凪良ゆう
~内容紹介~
「明日死ねたら楽なのにとずっと夢見ていた。なのに最期の最期になって、もう少し生きてみてもよかったと思っている」
一ヶ月後、小惑星が地球に衝突する。滅亡を前に荒廃していく世界の中で「人生をうまく生きられなかった」四人が、最期の時までをどう過ごすのかーー。
圧巻のラストに息を呑む。2020年本屋大賞作家が贈る心震わす傑作。
~感想~
2020年の本屋大賞を受賞した凪良ゆうさんの新作。小惑星の衝突により、1ヶ月後に地球が滅亡する。人間というのは法で縛られていることで理性を保つことができるんだと実感しました。秩序のなくなった世界において、一番守りたいものは何か?好きな人、家族、大切なものを守る強さに感動しました。
第8位:『オルタネート』/加藤シゲアキ
~内容紹介~
私は、私を育てていくーー。誰しもが恋い焦がれた青春の普遍を真っ向から描き切る、加藤シゲアキ、これが新たな代表作。高校生限定のマッチングアプリが必須となった現代。東京のとある高校を舞台に、3人の若者の運命が、鮮やかに加速していくーー。恋とは、友情とは、家族とは、人と“繋がる”とは何か。悩み、傷つきながら、〈私たち〉が「世界との距離をつかむまで」を端正かつエモーショナルに描く。著者3年ぶり、渾身の新作長編。
~感想~
第42回吉川英治文学新人賞を受賞されたNEWSの加藤シゲアキさん。「オルタネート」という高校生限定マッチングアプリが必須になった時代の恋愛や人間模様が描かれています。話題性で色眼鏡で見てしまう人も多いかもしれませんが、これがすごく面白い!怒涛の最後に、もどかしくなるほどのめりこみました。爽やかでみずみずしい新時代の青春小説です!
第9位:『推し、燃ゆ』/宇佐見りん
~内容紹介~
推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。第164回芥川龍之介賞受賞。
~感想~
第164回芥川賞受賞作、読みづらいと思ったら全然そんなことはなかったです。推しが燃えた、いつかはただの人になる。そんなときどんな人生を歩むのか。読めば読むほど生々しく、暗い闇に呑み込まれそうな表現力の高さです。
第10位:『この本を盗む者は』/深緑野分
~内容紹介~
「ああ、読まなければよかった! これだから本は嫌いなのに!」
書物の蒐集家を曾祖父に持つ高校生の深冬。父は巨大な書庫「御倉館」の管理人を務めるが、深冬は本が好きではない。ある日、御倉館から蔵書が盗まれ、父の代わりに館を訪れていた深冬は残されたメッセージを目にする。
“この本を盗む者は、魔術的現実主義の旗に追われる”
本の呪いが発動し、街は侵食されるように物語の世界に姿を変えていく。泥棒を捕まえない限り世界が元に戻らないと知った深冬は、探偵が銃を手に陰謀に挑む話や、銀色の巨大な獣を巡る話など、様々な本の世界を冒険していく。やがて彼女自身にも変化が訪れてーー。
巨大書庫「御倉館」、そこから蔵書が盗まれると本の呪いが発動し、街はたちまち物語の世界に姿を変えてゆくというファンタジー物語です。犯人を捕まえようと奮闘する主人公の成長に感動しました。話の展開が面白く子供たちにぜひ読んでもらい作品でした。
おわりに
2021本屋大賞受賞作品、ぜひ参考にしてみてください。
コメント