こんにちは。Emi(@Emi07033909)です。
糖尿病専門医試験対策に糖尿病専門医ガイドブックから、重要事項や、過去に出題された内容をまとめてみました。
参考文献は糖尿病専門医研修ガイドブック第8版からです。
間違いなどあるかもしれません。参照は自己責任でお願いいたします!
死因
- 悪性新生物(肺癌、肝癌、膵癌)
- 感染症(肺炎)
- 血管障害
- (脳血管障害(脳梗塞>脳出血)
- 虚血性心疾患(心筋梗塞>>狭心症)
- 慢性腎不全(糖尿病性腎症>糖尿病性腎症以外))
- 心不全
- 肝硬変
悪性腫瘍
全癌種に対する糖尿病のハザード 比は男女ともに 1.19
発がん性:高インスリン血症(インスリン作用糖の取り込みなどの代謝作用(PI3 キナーゼ―Akt 経路)が減弱しても ,動脈硬化や発癌などの増殖作用(Ras-MAP キナーゼ経路)が相対的に活性化
高インスリン血症が長く持続すると IGF 結合蛋白 (IGFBP)-1 および IGFBP-2 が減少.活性型の遊離 IGF-1 レベルが上昇=IGF-1 がインスリンと共に標的細胞・腫瘍細胞のアポトーシス↓+増殖シグナルを活性化し,発癌が促進
高血糖:酸化ストレス、小胞体ストレス、低酸素、慢性炎症、細胞老化⇒アポトーシス低下、増殖シグナル↑。癌細胞Warburg 効果=好気的環境においてもグルコースからのエネルギーを主に解糖系に よって得ている)エネルギー産生と物質合成を増やすために癌細胞は,エネルギー源として大量のグルコースを必要とする.高血糖状態で癌は核酸・蛋白質・脂肪酸の合成が増加し,癌の生存や増殖に有利に働く
アディポカインの変化:アディポネクチン↓(癌細胞の増殖抑制やアポトーシス誘導作用,抗炎症作用) レプチン↑(細胞内の増殖シグナルの活性化を介して,癌の増殖や転移にかかわる)
脂肪細胞におけ活性化型エストロゲン↑+Ins↑=肝臓における性ホルモン結合グロブリン(SHBG)の合成を低下、(テストステロン↓=前立腺癌は抑制される) ⇒子宮内膜癌、乳癌などのエストロゲン標的細胞でアポトーシス↓増殖シグナル↑
しかし,高血糖の是正が癌罹患リスクを減らすことを証明した質の高いエビデンスは得られていない
脳血管障害
介護の原因疾患①認知症②脳血管障害
脳梗塞75% 脳出血19% SAH5%
脳梗塞 DM有病率ラクナ31%アテローム30%心原性20%
- アテローム性:内膜肥厚、潰瘍血栓形成、炎症性サイトカイン
- ラクナ:穿通枝、HTNを背景に細動脈硬化、リポヒアリノーシス、小粥腫
early CT sign 皮髄境界消失、基底核不明瞭化、脳溝消失、血栓閉塞=動脈高吸収変化。
MRI DWI発症早期、FLAIR亜急性期
治療
- 超急性期:発症~4.5h rt-PA 禁忌は血糖<50,>400。出血性網膜症・腎障害は慎重投与
- ~6h 前方循環近位部閉塞(内頚動脈~中大脳動脈)⇒血管内治療
- 急性期:TIA ABCD2score抗血小板薬(~48h+moderate riskは短期間アスピリン、クロピドグレル併用)~5dであればTXA2阻害薬オザグレルの投与も。アテローム性(BAD)~48hであればアルガトロバン。(DMでは傍橋正中動脈BADの運動麻痺進行がリスクとして報告されている)。心原性で梗塞巣の大きくないものは早期からDOAC。
- 慢性期:高度のDMではアスピリンよりもクロピドグレルがより血管イベントを抑制したとの報告がある。血圧<130/80(ただし脳動脈主幹狭窄の場合は140/90)
冠動脈疾患
冠動脈リモデリング=動脈硬化進展の際に生じる代償的な血管内腔保持の反応。外側にプラークが進展するpositive remodeling(インスリン抵抗性と関連)から徐々に内側に進展するnegative remodeling(インスリン分泌不全)
血中リポタンパク糖化⇒スカベンジャー受容体経由Cho取り込み↑動脈硬化↑
FINNISH study AMI既往のないDMとAMI既往のあるnonDMの心血管死が15%と同等。
DMでは脳卒中に比べて相対的に冠動脈疾患が多い。(頻度は上昇しているが死亡は減っている。)DMの冠動脈疾患では男女差が少ない。followupCAGはReACTで有用性が否定的であり、近年は冠動脈CTや心筋シンチが用いられる。
Acute coronary syndrome
- 心筋壊死=AMI
- 壊死が生じつつある切迫梗塞=u-AP
- AP:労作によって誘発、安静・ニトロで改善、10分以内。APの場合はまだ可逆的。
AMI:症状かなり強い、60分以上、冷感、心不全兆候、ST↑R減高、異常Q,ST低下、陰性T。TnT、H-FABP、AST
AMI⇒死因①VT②Vf③AHF(心室中隔穿孔、僧帽弁機能不全、3枝病変orLMTによる心機能低下)④左室破裂
OMI:ACS 1m~。左室拡張末期圧↑=左房負荷=Af↑⇒stroke↑
インスリン抵抗性⇒拡張障害↑
運動負荷ECG感度70% 特異度75%
冠動脈CT50%狭窄で有意、CAGは75%狭窄で有意。
冠動脈CT:陰性的中率が高く、冠動脈狭窄の除外に有効だが、造影剤が必要、糖尿病では高度石灰化病変が多く内腔の評価が困難で狭窄度が過大評価されやすい。
DMではスタチンによるプラーク退縮効果が減弱。効果がHbA1cと相関するため、血糖コントロールは重要。
PAD
- 非重症虚血肢:無症候、間欠性跛行⇒リスク管理、シロスタゾール、サルポグレラート。クロピドグレルも適応
- 重症虚血肢:wound+ischemia+foot infection score=WIFI⇒血行再建術
TBI 異常<0.7 ABI<0.9 石灰化では高値になる
Fontaine分類
- I度冷感、しびれ
- II度間欠性跛行(切断リスク<2%)
- III度安静時疼痛
- IV度虚血性潰瘍、壊疽
その他
diabetic foot=神経障害、末梢血流障害を伴った下肢の感染症や潰瘍、深部組織の破壊
- 神経障害性潰瘍60% 荷重部位で
- 混合神経虚血性潰瘍30%
- 虚血性潰瘍10% 足末梢尖部や踵
自律神経障害:発汗↓皮膚乾燥亀裂。AVシャント=交感神経支配↑⇒足背静脈拡張、皮膚温↑=皮下毛細血管血流は盗血減少のため低下する。
下肢挙上後下垂するとうっ血や静脈再充満時間が延長>20s
SPP ≒Toe pressure 創傷治癒のためには>30mmHg
足潰瘍:ハイリスク 罹病>10y, male, control不良、細小血管合併症あり、末梢循環障害、潰瘍切断の既往、足変形、足ROM制限、胼胝・うおのめ、爪変
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