こんにちは。Emi(@Emi07033909)です。
内分泌専門医試験対策に内分泌代謝科専門医研修ガイドブックから、重要事項や、過去に出題された内容をまとめてみました。
最新の対策は数年分の学会誌を読んでおきましょう。
参考文献はこちらです。
内分泌専門医に絶対合格したい人はこちらも必須です。
間違いなどあるかもしれません。参照は自己責任でお願いいたします!
甲状腺
- T4=Iが4つ。100%甲状腺で合成 血中>T3*50倍
- T3 20%甲状腺で合成, 80% 標的細胞でT4から合成 活性>T4*4-5倍
結合:TBG, TBPa =Alb
受容体:TRα、β1、β2(TSH control)
甲状腺中毒症鑑別
疾患
破壊性甲状腺炎 一過性にTRAb+ TSAB-, 無痛性甲状腺炎、出産後甲状腺炎、薬剤性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、妊娠初期一過性甲状腺機能亢進症, Plummer病(中毒性結節)非自己免疫性甲状腺機能亢進症(TRAb-, TSHrec獲得型変異), SITSH
シンチ
- 123I 1週間前のヨード制限が必要
- 99mTc4- ヨード制限が不要
Basedow病
女性に多い。
検査・所見
- T-cho↓(LDL↓HDL↓TG↓)
- 骨ALP↑10%骨量が減少、頚部骨折リスク↑
- CK↓(腎クリアランス↑)
- 食後30-60分in高血糖(食物吸収が早くなる)
- TRAbが感度、特異度ともに優れる
T3 toxicosis
T3優位型Basedow病 10%でみられる。
甲状腺腫が大きい。抗甲状腺薬による寛解を得られにくい。
神経症状
- 甲状腺中毒性ミオパチー 近位筋 CK上昇しない
- 甲状腺中毒性周期性四肢麻痺 40歳以下の男性、近位筋 知覚・意識障害なし。
- 発作時のみ低K血症、尿中K排泄低下(代謝亢進で再吸収が促進する。)
- 炭水化物摂取・激しい運動・飲酒後に起こりやすい。
- アルカローシスは起こりにくい。
甲状腺眼症
Basedow病の10-20%(橋本病2%)
上眼瞼後退50-70%(交感神経過緊張でMuller筋が収縮するため)。下直筋障害⇒上方注視で複視
- Dalrymple徴候:上眼瞼後退⇒虹彩の周りの強膜がみえる
- Graefe徴候:上眼瞼後退⇒下方視で上眼瞼の動きが遅れる
- Moebius徴候:外眼筋線維化⇒輻輳失調
- Stellwag徴候:瞬目減少
重症度確認。moderateは眼裂開大10-12mm 突出20mm
治療
- 禁煙
- 抗甲状腺薬(TPOに対するTgのチロシン残基のヨード化を特異的に阻害)
- ステロイドパルス
- 放射線療法
増悪因子
喫煙、アイソトープ治療(甲状腺破壊で一時的にTRAbが上昇し眼症悪化)、Basedow病中の甲状腺機能低下症(TSH上昇が眼症悪化につながる)
Apathetic Basedow病
高齢者で症状に乏しい
無欲性・仮面性顔貌Basedow病
体重減少が95%でみられる
心房細動の頻度が増える
甲状腺腫60%程度。(若年者のBasedow病であれば99%)
治療
抗甲状腺薬
妊娠4-7週を除きMMI(妊娠4-7週ではPTUまたはヨード)
- MMI, PTU 胎盤通過性に差はないが、MMI関連奇形(後鼻孔閉鎖、食道閉鎖、気管食道瘻、頭皮欠損、臍腸管異常、臍帯ヘルニア)があるため。
- 授乳 MMI<10mg/日、PTU<300mg/日であれば問題ない。PTUの方が乳汁に移行されにくい(<1/10) 6時間程度は授乳を中止するのも手
- 無機ヨードは少量でも新生児に甲状腺機能低下症をおこすため、断乳が必要。
MMI投与例:FT4>7 MMI 30mg, FT4<5 15mg
治療期間は2年が目安。
5㎎で6か月以上TSHも含めeuthyroidであれば中止した場合の寛解率は80%
TRAb陰性でも30%が再発。TRAb陽性でも30%寛解。
寛解しにくい条件:甲状腺腫が大きい、機能亢進が強い。T3/T4>2.5、若年、喫煙・精神ストレス
副作用
MMIは投与量に相関するがPTUは相関しない。
ANCA関連血管炎 MPO-ANCA ステロイド対象は臓器障害を伴う場合のみ。再発は稀、服用量、重症度とANCA値は相関しない。
多発関節炎、再生不良性貧血、インスリン自己免疫症候群(MMI)など
無顆粒球症 <500/µl。顆粒球減少 <1000/µl ⇒抗甲状腺薬中止、広域スペクトル抗菌薬を投与⇒無機ヨード、ルゴール液に変更する。
ヨウ化カリウム
過剰な無機ヨードが有機化を抑制する=Wolf-Chaikoff効果⇒甲状腺内の血管分布減少、濾胞細胞縮小、腺組織の固化
正常では投与後1日以内に起こり、10日以内にエスケープするが、Basedow病ではエスケープが起こりにくい
乳汁移行する
βブロッカー
妊婦で使用できるのはラベタロール、アテノロール。授乳婦はプロプラノロール、メトプロロール
- β1選択性:アテノロール、メトプロロール。気管支喘息慎重投与
- β1非選択性:プロプラノロール。気管支喘息、DKA、高度房室ブロックでは禁忌
131I内用療法
10年以内に50%以上が甲状腺機能低下症になる
500MBq 13.5mCiまで外来可能
手術
癌合併、妊婦(中期に手術)では第一選択。
確実で速いが、反回神経麻痺、副甲状腺機能低下症の合併がある。
妊娠による変化
妊娠初期一過性甲状腺機能亢進症:TSHと同じα鎖を持つhCGの一時的な高濃度状態により妊娠第1期7-15週にFT4が一時高値。抗甲状腺薬は必要ない。
妊娠中に必要な甲状腺ホルモン量は25-50%増加する。
妊娠中にFT4が低下することがあるが、TSHはほとんど変動しない
TSH目標は妊娠初期TSH<2.5, 中期<3.0
エストロゲン↑⇒肝臓でのTBG↑=結合型甲状腺ホルモン(TT4,TT3)↑
胎児が自力でT4生成できるのが18-20週ごろ、それ以前は母体からのT4が中枢神経分化を助ける。
TRAb胎盤通過=胎児も甲状腺機能亢進症(TRAb>10) 妊娠高血圧症候群
出産後甲状腺機能悪化しやすい(5-10%)Basedow病再燃、破壊性・無痛性甲状腺炎が起こりやすい。
無痛性甲状腺炎
- 橋本病
- 出産後甲状腺炎
- 薬剤性:インターフェロン、IL-2、GnRH、炭酸リチウム、アミオダロン。
中毒症は3か月以内に改善。
Tg抗体+TPO抗体+。
鑑別:basedow病(超音波やシンチで判別)
亜急性甲状腺炎
夏に多い 40歳女性。上気道炎後、 圧痛(移動=creeping pain)。
HLA-Bw35と関連。
血液検査:赤沈↑CRP↑WBC↑
T3/T4<20⇔Basedow病では>20
組織に多核巨細胞
治療はNSAIDs, PSL 20mgなど。
亜急性甲状腺炎後の甲状腺機能低下症が15%でみられる。
甲状腺機能低下症クリーゼ(粘液水腫性昏睡)
致死率30-40% 高齢女性
寒冷が誘発=冬に多い。リチウム、アミオダロンなどが原因になることも。嗜眠、低Na<130
- 低体温<35.7℃
- 呼吸不全pH<7.35、PaCO248、酸素投与が必要
- 循環不全MAP<75,HR<60,昇圧剤が必要
鑑別は橋本脳症
治療はLT4,LT3投与
甲状腺機能亢進症クリーゼ
日本版:甲状腺中毒症+中枢神経症状(不穏、せん妄、傾眠、昏睡)+BT>38℃、HR>130、心不全(肺水腫)、消化器症状(嘔吐・下痢、T-Bil>3)
海外版:発熱、中枢神経症状、消化器症状、循環器症状+誘因(感染、DKAなど)
致死率10%(多臓器不全による)
治療:MMI20 or PTU 250mg q6h⇒1時間以上あけて無機ヨード50mg q6h, T4からT3の変換を抑制するβblockerやステロイドを投与する
甲状腺クリーゼ時
禁止事項
- アスピリン投与(遊離型甲状腺ホルモン↑)
- 心不全時にβblocker
- 気管支喘息患者にβblocker(かわりにベラパミル投与する)
- ヨウ化カリウムを抗甲状腺薬より先に投与
粘液水腫
圧痕を残さない。
間質の蛋白濃度↑グリコサミノグリカン=ムコ多糖沈着
- Basedow病では自己抗体が線維芽細胞を刺激、プロテオグリカンを大量に産生。(貧血や低Albからの心不全による浮腫がみられることも)
- 橋本病では代謝低下⇒ムコ多糖↑
⇔
- 圧痕性浮腫 pitting edema: 血管内から間質へ水Na移動
- Cushing症候群や原発性アルドステロン症ではNa貯留による浮腫がみられる。
- リンパ浮腫:リンパ液の停滞
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