こんにちは。Emi(@Emi07033909)です。
糖尿病専門医試験対策に糖尿病専門医ガイドブックから、重要事項や、過去に出題された内容をまとめてみました。
参考文献は糖尿病専門医研修ガイドブック第8版からです。
間違いなどあるかもしれません。参照は自己責任でお願いいたします!
KUMAMOTO宣言2013
A1c<7.0%, FPG<130, PPG<180
ESC/EASD2019
心血管疾患既往, 心血管リスクが高い 2 型糖尿病患者では, メトホルミン服用に関わらず,SGLT2 阻害薬もしくは GLP-1 アナログ製剤を使用,メトホルミンが第 1 選択から外され,第 2 選択
ADA2019
1stメトホルミン
2nd ASCVDありなら CVD EBMのあるGLP-1RA(リラ⇒セマ⇒エキセナチドの順)またはSGLT2i (エンパ⇒カナグリの順)
または HF EF<45/CKD ならSGLT2i(eGFR<45ならGLP-1RA)
ASCVDなしなら低血糖リスクの低い or 減量 or 費用で薬剤を選択
高齢者の治療目標
JDS
低血糖系薬剤なければカテゴリーⅠ認知機能正常かつADL自立からカテゴリーⅡ軽度認知障害~軽度認知症または手段的ADL低下、基本的ADL自立は7%未満, カテゴリーⅢ中等度以上の認知症または基本的ADL低下または多くの併存疾患や機能障害は8.0%未満
低血糖系薬剤あれば
- 65歳以上-75歳未満 6.5-7.5%未満(下限6.5%),
- 75歳以上 7-8%未満(下限7.0%),
- 軽度認知障害~軽度認知症または手段的ADL低下、基本的ADL自立 7-8%未満(下限7.0%),
- 中等度以上の認知症または基本的ADL低下または多くの併存疾患や機能障害は7.5-8.5%未満(下限7.5%)
HDS-R<21 moderate14±2
ADA 高齢者HbA1c<7.5 mild moderate dementia <8.0 severe<8.5
IDFでは7.0の下限値あり
BMIと死亡率
WHOはアジア人では,BMI 23kg/m2 を健康リスクが上昇し出す ,27.5 kg/m2 以上をハイリスク. 50-64y アジア人:死亡率の低いBMIは20-25(Jカーブ).糖尿病発症予防のための適正体重と糖尿病患者の目標体重は,別の視点で論じる必要がある。
75歳以上では BMI 25 kg/m2 以上でも死亡率は増加しなかった obesity paradox⇒65歳~Ht*Ht*22-25に設定する
サルコペニア肥満:IADL 低下,フレイル,転倒をきたしやすい
食品交換表
4群6表
1群 炭水化物 表1(穀物、いも、炭水化物の多い野菜、豆 C18P2),2(くだもの C19P1 1U)
2群 たんぱく質 表3(魚、貝、いか・たこ・えび・かに、干物・練り物・佃煮、魚介缶詰、大豆、卵・チーズ、肉 C1P8F5),4(牛乳、乳製品 C7P4F4)
3群 脂質 表5(油脂、脂質の多い果実 ドレッシング、マヨネーズ、ベーコン、豚バラ、あん肝 F9)
4群 ビタミン、ミネラル 表6(野菜、海藻、きのこ、こんにゃく C14P4F1)1.2U 緑黄色野菜120g
調味料 みそ、みりん、砂糖 C12P3F2 0.8U
食事療法
食事療法の目的は,全身における良好な代謝状態を維持することによって,合併症を予防し,かつ進行を抑制すること.体重に見合う総エネルギー摂取量を設定,目標体重は患者の年齢,病態等によって異なることを考慮し,個別化を図る.治療開始時に総エネルギー摂取量の目安を定め,病態,年齢や体組成,患者のアドヒアランスや代謝状態の変化を踏まえ,適宜変更する
2008年DIRECT研究 脂質制限、地中海食、炭水化物制限⇒減量効果は地中海食と炭水化物制限だったが、総エネルギー減の効果が大きい。
Glycemic index
50gの食物を摂取したときの血糖曲線下面積÷50gのブドウ糖との面積比。×炭水化物量=glycemic load
カーボカウント
- 基礎カーボカウント:炭水化物摂取量を一定にする。
- 応用カーボカウント:総インスリン必要量から炭水化物グラムあたりのインスリン必要量とその時点での血糖値を下げるためのインスリンを計算する。
脂質
動物性脂質=飽和脂肪酸の摂取増加は糖尿病発症リスク
2011年のメタ解析では多価不飽和脂肪酸の摂取はA1c↓
多価不飽和脂肪酸主ω-6リノール酸、一価不飽和脂肪酸主オレイン酸オリーブ
食物繊維
人の消化酵素で消化されない食品 野菜300g=食物繊維10g
水溶性:ペクチン、グルコマンナン、アルギン酸、アガロース
不溶性:セルロース、βグルカン、キチン
2019年死亡率、ASCVD、T2DM、大腸癌が低下した。効果は食物繊維摂取25-29gが最大であった。
日本でも食物繊維摂取が増えるとA1cが低下する。
⇒成人摂取目標男性20-21g, 女性17-18g 日本糖尿病学会は20g以上を推奨
カロリー設定
目標体重は65歳以下なら BMI22 65-74歳は BMI 22-25
75歳以上は 22-25。現体重にもとづき、フレイルや合併症、身長の短縮、体組成、摂食状況により調整する
身体活動量とエネルギー係数
- 軽労作(大部分が座位の静的活動) 25-30
- 普通労作(座位中心だが通勤・家事、軽い運動を含む) 30-35
- 重い労作(力仕事、活発な運動習慣がある) 35-
高齢者のフレイル予防では身体活動レベルより大きい係数、肥満で減量する場合は身体活動レベルより小さい係数を設定できる。
総エネルギー摂取量の目安kcal/日=目標体重×エネルギー係数
エネルギー産生栄養素比率は食事療法を長く継続するために、個々の食習慣を尊重しながら柔軟に対応
ADA体重管理目標を5%減 肥満症学会3-5%
栄養素の内訳
炭水化物 50~60 %エネルギー(150 g/日以上),タンパク質 20 %エネルギー以下(20%E以上のタンパク質摂取は動脈硬化性疾患などによる総死亡率を増加する可能性, 大規模コホートではたんぱく質摂取量が多くてもeGFR低下速度に差異はない、100g以上の赤身肉はDM発症↑)を目安とし,残りを脂質 とするが,脂質が 25 %エネルギーを超える場合は多価不飽和脂肪酸を増やす.
(飽和脂肪酸<7%) 食物繊維20g/日
ちなみに動脈硬化性疾患予防のための食事は脂質20-25%, 飽和脂肪酸4.5-7%(過度なSFA制限は脳出血と関連), コレステロール<200mg, n-3多価不飽和脂肪酸摂取を増やす、トランス脂肪酸を控える。炭水化物50-60%、食物繊維の摂取を増やす。食塩<6g、アルコール<25g
腎症の食事について
K制限 <2g(腎不全では<1.5g) 目標4-5.4mEq/l K (HD<2g)
CKDでのP↑=死亡率↑腎不全進展↑ 乳製品・レバー・しらす・ししゃも・小魚などはリン/たんぱく質比が高く避ける。添加物=有機Pは90%吸収、食品:無機Pは50%吸収。⇒ファーストフード・インスタント・清涼飲料水・スナック菓子は避ける。
タンパク制限について
高たんぱくは糸球体過剰ろ過を誘発、低たんぱくは腎機能低下抑制、尿毒症物質蓄積抑制、リンや酸負荷の抑制により透析導入遅延効果がある。
低タンパク質0.6-0.8g/BWはeGFR<45かつ顕性蛋白またはΔ3-5/年, eGFR<30
*低栄養、サルコペニア、>75yでは下限0.8に
低たんぱくを実施しない症例も<1.3g/BW(サルコペニアリスクeGFR>60では1.5gまで許容)
低たんぱくを実施する場合は30-35kcal/目標体重
アルコール
アルコール1g7kcalだがビタミン・ミネラル・食物繊維を含まないためempty calorieとよばれる。
- アルコールの分解産物がインスリン作用を抑制
- アルコール自体が高カロリー
- 食欲増進で摂食↑
- 膵炎、肝障害TG↑
一方でアルコールは肝臓での糖新生を抑制、低血糖の誘因。アルコールと炭水化物摂取の後の反応性低血糖を引き起こす。
糖尿病の人は<25g/日推奨(2単位)
肝疾患の食事
糖は多糖類で摂取。たんぱく質は10-15% 肝性脳症がある場合は0.5-0.7g/kg/d
肝硬変;FPG↓BCAAを含む夜間就寝前補食
BCAA;protein-energy malnutritionの改善として有効。骨格筋でのアンモニア代謝あるいはエネルギー源として利用。ロイシンはmTORを介して、グリコーゲン合成酵素を活性化、骨格筋における糖取り込みを促進。生存率↑非蛋白呼吸商↑低アルブミン改善、肝癌抑制。
高血圧症
糖尿病の70%は食塩感受性高血圧を合併する。
インスリン抵抗性、高インスリン血症=腎Na排泄障害、血管リモデリング、RA↑
DMでは夜間の血圧が低下しないnon dipper⇒心血管リスク
診察室日本HTN >140/90*2回(nor<120/80 正常高値120-129/80,高値血圧130-139/80-89, 1度140~2度160~
家庭HTN>135/85 (高値125-134/75-84家庭血圧優先>診察室。朝は起床後1時間以内、排尿後、服薬前、朝食前に座位1-2分後、眠前は座位1-2分後に)
塩分制限
AHA NaCl<5.8g(ハイリスク<3.8g) WHO<5g 日本では男性<7.5g,F<6.5g
顕性腎症ではHTNの有無によらず塩分<6g
CKDでは下限3g:食欲低下や脱水助長による腎機能悪化があるため。
推定摂取=尿NamEq/日/17gmEq
Na*2.54=NaCl
診察室血圧に基づいたASCVDリスク(JALSscoreと久山socre)
リスク① 2度から中リスク
リスク②>65y,Male,DLP,smoke 高値血圧から中リスク
リスク③②が3つ以上、ASCVD既往、Af,DM,CKD(タンパク尿) 高値血圧から高リスク
10年間のASCVDリスクが低リスクで<1%,中1-10%,高>10%
治療
低・中リスクでは生活習慣の改善を3~1カ月⇒降圧薬
高リスクでは生活習慣+直ちに降圧薬
生活習慣改善項目:塩分6g、野菜果物摂取、飽和脂肪酸・コレステロールを控える、多価不飽和・低脂肪積極的摂取、適正体重、運動療法30min/d or 180min/w, 節酒M<20-30ml/d,F10-20ml/d, 禁煙
Kの拮抗作用⇒WHO K>3.5g/d。多価不飽和摂取で降圧+ASCVD↓
薬剤
DM目標130/80 1カ月を超えない範囲で非薬物療法だめなら臨床的高血圧症として降圧薬を開始する
高血圧治療薬として ACE 阻害薬か ARB が推奨 されていたが,高血圧治療ガイドライン 2019 に準じ て,ACE 阻害薬や ARB のみならずカルシウム拮抗薬 やサイアザイド系利尿薬も推奨されることとなった. ただし,微量アルブミン尿,タンパク尿が併存する場合は ACE 阻害薬か ARB のいずれかが推奨される
- 心不全に対してはARBは心血管死、心不全入院↓
- 虚血性心疾患に対してはβblockerで死亡率↓
- ACEi/ARBが網膜症の発症、進展抑制
運動療法
摂取エネルギー制限だけでは除脂肪体重が減少し、体脂肪は減らない。骨格筋細胞内の脂肪蓄積改善には有酸素運動が必要。
脂肪1g 7kcal =1kg 7000kcal。1カ月に1㎏減量するためには1日233kcal減らす必要がある
vlcd禁忌:心筋梗塞、脳梗塞直後、不整脈既往、冠腎肝不全、インスリン治療中、消耗性疾患、うつ病、妊娠・授乳中
空腹時や運動などでグルコース需要の増加があると、インスリン分泌は低下してグルカゴン分泌を刺激
著しい高血糖FPG>250では運動療法禁止:運動中のカテコラミン分泌↑に伴い脂肪分解、FFA↑ケトン↑インスリン不足=高血糖
高強度(短期):筋肉グリコーゲン分解解糖でエネルギー産生(無酸素、フルクトース6P→ピルビン酸→乳酸)
低~中強度:グリコーゲン、グルコース、骨格筋細胞内脂質、FFAの酸化的リン酸化。長時間運動でBCAA消費。
急性効果:インスリンと独立。AMPK⇒GLUT4↑
慢性効果:骨格筋内脂質↓インスリン感受性↑最大酸素摂取量↑身体活動量↑レジスタンス運動でも抵抗性改善。
骨格筋からのIL-6⇒脂肪分解、β酸化、グリコーゲン分解、TNFα↓
cardiopulmonary exercise test CPX 最大酸素摂取量を測定 40-60%の運動心拍数を推奨(無酸素運動=最大酸素摂取量>60%)<50y 100-120bpm, >50 <100bpm HITも肝脂肪化を改善するので運動の短縮には有効
高齢者ではratings or perceived exertion, Borg scaleなどををもちいる。楽~ややきつい 自覚的運動強度11-12(楽程度)
T2DM:除脂肪体重は基礎代謝、食事誘発性熱産生と関連
健常者:骨格筋量がインスリン抵抗性と相関。
運動量
週3日、活動がない日が連続2日超えないように。150min/w
無酸素運動 連続しない日程で週2-3日、8-10種類、10-15回を繰り返すことができる負荷を1セットから、8-12回を1-3セット
増殖前では重量挙げのような息こらえを行うvalsalva型運動や頭位を下げる運動、ジャンプは眼底血圧を上昇させるので避ける
腎症2期までは運動ok,3期以上は病態により程度を調節
神経障害;フットケア。自律神経障害:日常生活以外の運動は制限 爪はまっすぐに スクエアオフ
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