糖尿病専門医試験~低血糖・その他の代謝異常~

勉強
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こんにちは。Emi(@Emi07033909)です。

糖尿病専門医試験対策に糖尿病専門医ガイドブックから、重要事項や、過去に出題された内容をまとめてみました。

参考文献は糖尿病専門医研修ガイドブック第8版からです。

間違いなどあるかもしれません。参照は自己責任でお願いいたします!

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低血糖時のホルモン

健常人counter-regulation

  • 80でインスリン分泌抑制
  • 70でグルカゴン・アドレナリン分泌、
  • 60で成長ホルモン、コルチゾール分泌

低血糖時の症状

60-70で低血糖症状, <50で中枢神経機能症状

  1. 交感神経刺激症状neurogenic=warning sign
    • 発汗、不安、動悸、頻脈、振戦、顔面蒼白,低体温、高血圧、瞳孔拡大
  2. ブドウ糖欠乏による中枢神経のエネルギー不足=中枢神経症状neuroglycopenic
    • 頭痛、眼のカスミ、空腹感、眠気、異常行動、痙攣、昏睡

低血糖の鑑別

  • 糖尿病治療
  • インスリノーマ
  • 反応性低血糖(血糖上昇とインスリン分泌の反応がずれる。胃切除後食後1-2時間。糖尿病初期食後3-5時間)
  • 薬剤性
  • インスリン自己免疫症候群
  • インスリン抗体
  • 糖新生↓(アルコール・肝不全)
  • インスリン拮抗ホルモン↓(下垂体前葉機能低下、ACTH単独欠損、GH↓副腎皮質↓)
  • IGF-2産生腫瘍
  • 詐病(利得ある時)、虚偽性障害(利得なし、Munchhausen)

遅発性低血糖

強い運動を行ったあと。グリコーゲン合成のため肝臓や筋肉がブドウ糖を消費する。運動時外因性インスリン皮下吸収↑糖新生↓インスリン作用増強

無自覚性低血糖

Hypoglycemia-associated autonomic failure

自律神経障害のため交感神経刺激症状が欠如=いきなり中枢神経症状が出現する

拮抗ホルモンの分泌閾値↓低血糖症状の発現閾値も低下。⇒HAAF回復のためには低血糖を避ける治療が重要。

胃腸運動障害ではブドウ糖吸収が遅延、低血糖回復遷延+回復後の高血糖。

T1DM発症から5年で低血糖に対するグルカゴンの反応が消失。またアドレナリン分泌も40%に異常あり。⇒重症低血糖↑

低血糖の記述参考

細小血管障害の重症度と重症低血糖の頻度に相関はない。自己のみでは対処できない低血糖症状があり、発症・発見・受診時の静脈血漿血糖値が 60mg/dl 未満 (毛細管全血 50mg/dl 未満)食事タイミングのミスが最多。頻度はT1<T2、年齢T1<T2、 eGFRT1>T2、HbA1c T1>T2、低血糖受診歴T1>T2、前駆症状ありはT1<T2で多かった。

低血糖の原因は食事、運動、インスリン感受性の改善、インスリン吸収増加、作用遷延、拮抗ホルモン低下など。

グルカゴンはアルコール性低血糖、食思不振時、低血糖遷延時にはグリコーゲンが枯渇している可能性が高く、十分な効果が期待しずらい。

低血糖リスク要因

インスリン、SU、HbA1c低値、高値、無自覚性低血糖、認知症、認知症低下、うつ病、腎機能障害、BMI↓肝疾患、多剤併用、高齢

→対策:低血糖が非典型的症状になりやすいことを教育。低血糖の対処法、ブドウ糖摂取。認知機能・ADLを考慮した柔軟なコントロール。低血糖をおこしにくい薬剤を選択、腎機能に応じてSU調節。インスリンを変更(速効→超速効、混合・中間→持効)SMBG/CGM/FGM指導。欠食を避ける。シックデイの指導。

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糖新生低下

  • 肝障害:グリコーゲン↓
  • アルコール:NADH/NAD↑
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インスリノーマ

  • 女性>男性に多い
  • Glu<45, CPR>0.6,IRI>6
  • <2cm(80%) 良性>90%
  • Whipple三徴
  • 5%MEN1(PTH↑、下垂体腺腫、ガストリン産生腫瘤、グルカゴン産生腫瘍。インスリノーマ多発) MRIT1low T2high
  • 選択的動脈内カルシウム注入試験arterial stimulation venous sampling カルシウムを脾・胃十二指腸・上腸間膜、肝動脈に注入、肝静脈のIRI測定。
  • 治療はKatp開放によりインスリン分泌を抑制するジアゾキシド、オクトレオチド、ストレプトゾシン。mTOR=エベロリムスなど。

新生児低血糖

診断基準BS<50, IRI>1, グルカゴン投与後BSΔ>30, 正常血糖を維持するためのブドウ糖静注量7mg/kg/min

先天性高インスリン血性低血糖症

  • 一過性:3-4カ月で軽快。糖尿病母体児、SGA(small for gestational age)呼吸器・循環器疾患、HNF4A,1A
  • 持続性:Katpチャネル異常(SUR1=ABCC, KIr6.2=KCNJ11); focal(母遺伝子欠失と父生殖細胞異常) とdiffuse type(父母生殖細胞異常)がある。

腎性糖尿

高血糖がないのに尿糖+(ガラクトースや果糖は検出されない), OGTT・IRI・FFA・HbA1c正常。

炭水化物貯蔵や利用は正常。治療は不要

ブドウ糖は近位尿細管で再吸収、さらに遠位でも吸収される(300mg/min)

ブドウ糖尿細管再吸収極量=Transport maximum of glucoseTmG=ブドウ糖再吸収が飽和した点。

尿糖排泄閾値Renal glucose threshold 160-180mg/dl。加齢とともに閾値低下、妊娠時にも低下する。

  • 腎性糖尿typeA:閾値とTmGが低下 50-100g/日
  • TypeO:ブドウ糖の再吸収がない
  • TypeB:近位尿細管障害。閾値↓TmG→~↓

その他、Na+依存性トランスポーターSGLT1/2(1は小腸刷子縁にも発現:異常があると新生児期に激しい下痢と腎性糖尿=glucose-galactose malabsorption。2異常遺伝子SLC5A2でARの腎性糖尿をきたす)

糖原病

頻度Ⅰ→Ⅱ→Ⅲ

Ⅰ型=von Gierke病

肝腫大、低血糖、脂質異常症、高尿酸血症、血小板機能障害、鼻出血。腎障害、肝血管腫、骨粗しょう症

Ⅰa型:G6P欠損(G6Pからglucoseに変換できない)=g727t

Ⅰb型:G6P translocase欠損(ミクロソームに移動できない)Ⅰbではさらに好中球↓機能障害もあり細菌感染↑口腔潰瘍

診断:創始者効果を利用した末梢血からの遺伝子診断

Ⅱ型=Pompe病

ライソゾーム内のグリコーゲン→グルコースのα1,4glucosidase欠損。低血糖なし。グリコーゲンを含んだ空砲が骨格筋や心筋にみられる。

乳児型:生後2-3か月心肥大、筋緊張低下、心不全

小児型:運動発達遅れ、近位筋筋力低下

成人型:20歳から近位筋と呼吸筋不全

≒Danon病:α1,4glucosidaseは正常だけど、ライソゾームの膜蛋白LAMP-2欠損=心肥大、不整脈、ミオパチー、知能障害

Ⅲ型=Cori

グリコーゲンdebranching enzyme欠損。分枝グリコーゲン沈着。低血糖、筋力低下、筋委縮、心筋症

Ⅳ型=Andersen

グリコーゲンbranching enzyme欠損のためアミロペクチンに類似する分枝の少ない異常グリコーゲンが蓄積、筋力低下、心筋症、肝腫大、肝硬変。低血糖なし

glycogen phosphorylase 筋型欠損→有痛性筋けいれん、運動後ミオグロビン尿、CK↑

glycogen phosphorylase 肝臓型の欠損→肝腫大、発育障害、低血糖

Ⅸ型

phosphorylase kinase系の異常:phosphorylase b→phosphorylase a(活性化型);4つのサブユニットαL(肝),αM(筋),β,γTL(精巣、肝臓),γM(筋),δ(カルモジュリン)

Ⅸa 75% XR αL異常:肝腫大、発育障害、低血糖

Ⅸc γTLの異常は重症で肝硬変に進行する

phosphofructokinase M(筋), L(肝), P(血小板型)

Mが異常:fructose6Pをピルビン酸に変換できない。激しい運動で有痛性筋痙攣、ミオグロビン尿、高尿酸血症、溶血=LDH↑胆石↑i-bile↑CK↑

0型:glycogen synthase欠損。グリコーゲンを作れない。空腹時低血糖+ケトン陽性。食後高血糖、食後高乳酸血症。肝腫大はない。

ガラクトース血症

ガラクトースはブドウ糖の光学異性体。

galactokinase欠損 白内障↑治療は食事からガラクトース除去、乳糖除去ミルク

galactose 1phosphate uridyltransferase欠損:哺乳後に下痢・嘔吐、黄疸。発育不全、言語障害、精神遅滞、卵巣機能不全

UDP galactose 4epimerase 欠損

フルクトース代謝異常(=果糖)

ブドウ糖+ガラクトース=乳糖:2糖類=ミルク

スクロース(ショ糖:2糖)=果糖+ブドウ糖

肝fructokinase欠損:果物ショ糖摂取後にfrutose↑

遺伝性フルクトース不耐症(fructaldolaseB肝型の異常):果糖摂取で低血糖、嘔吐が誘発、肝不全。グリコーゲン分解の異常も起こり低血糖になる。

fructose 1,6biphosphatase欠損:低血糖、代謝性アシドーシス、過呼吸。反応性低血糖。遺伝性フルクトース不耐症と異なり、果物や甘味を避ける食行動はみられない。

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